Apple

アップルといえば、iPodやiPhoneで2000年前後から世界を席巻している世界的な、コンピュータ会社です。
昨年まで、このアップルの経営の全権を握っていたスティーブ・ジョブズ氏は、亡くなるまで新たなアイデアを模索し続けたと言われており、弛まぬ創作意欲と、一貫して「シンプルさ」に拘ったUIのデザインは、世界に多くのファンを生み出しました。
この世界的企業はいったいどのような戦略で世界の市場を握ったのでしょうか。

アップルとマイクロソフトの違い

アップルコンピュータは、IT革命の大本家であり、コンピュータ市場においても世界最大の企業であると同時に、最高責任者であったビル・ゲイツ氏が大富豪であることを特に知られているマイクロソフトと比べられがちです。
しかし、両者の間には、大きな違いがあります。

確かに、歴史上アップルもマイクロソフトもほぼ同時期にOSを開発し、それに付随するソフトウェアの開発を行ってきました。
しかし、一方で、その戦略は大きく違うものだったのです。
マイクロソフトは、近年になってようやく本格的に自社ブランドを冠したハードウェアの開発と販売を行うようになりました。
パソコンや、スマートフォンで「windows」の名前を入れたものを多く使っています。
どうしてもともとそれを行わなかったのかというと、それをするような戦略を取っていなかったということが応えとなります。

一般的なIT企業の戦略

マイクロソフトは、自社のOSやシステムを世界標準とすることで、その莫大な利益を築いてきました。
つまり、ハードウェアのように生産に原価や人件費などがかかってしまうものに関しては、ライセンス契約をすることで、他社に任せた上で、OSやツールなどを売って利益を得ていたのです。
こうすれば、ハードウェアの生産まで一貫して行うことよりも、輸送などもかからずはるかに利益効率の良いシステムを構築することができるのです。
これで、世界的な派遣を手に入れたマイクロソフトを見習い、その後に続くことになる、googleやFacebookといった企業もこのビジネスモデルを取り入れて、商売をするようになります。
つまり、シェアを拡大して、ソフトウェアで儲けると言った方式で、覇権を握れるかどうかがIT企業にとっては成功できるかの分かれ目となるようになったのです。

アップルのビジネスモデル

一方で、アップルはそうではありません。
例えば、アップルを一躍トップ企業に押し出したシリーズであるiPodは、パソコンのiTunesというソフトを使って音楽を購入して個人が消費することができるというシステムを作り出しました。
通常のIT企業ならば、このiTunesを有償化することや音楽コンテンツの単価を上げることによって利益を得ようとしますが、アップルはこれをソフトの無償提供と音楽コンテンツの格安販売という戦略を打ち出したのです。
一方で、一見割高に感じられるiPhoneの発売や卸売が主体の中、全世界に300店舗以上のオフィシャル店を展開してサービスなども自社で賄おうとする戦略を展開しています。

また、これらの取り組みの中でアップルは自社内にいち早く直売のためのサイトを設けたことでも知られており、現在でもアプリのストアや音楽配信のサイトと連動して運営されています。
>>アップル社

実は、アップルは元来のメーカーと同じく、「自社の製品をなるべく多く売る」ことによって利益を得る戦略を一貫して行ってきたのです。
そのために、アップルの自社製品は他と違うのだということを前面に押し出して、ブランド価値を高め、ホワイトカラーの高級ブランドというイメージを定着させました。
そこへ、数々のアップル独自のサービスを展開することによって、アップルの製品でしか得ることのできない利便性や、それを持っていることが価値を持つというブランドへと押し上げたのです。

これによって、多少高くてもアップル製品が欲しいと考える人や、アップルの製品を持っていることがお洒落であるというイメージを作り出し、どこの企業にも負けることのない、ブランド力を身につけることになりました。

多くの企業がマイクロソフトという世界的成功例のビジネスモデルを取り入れている時代で、逆行するようにメーカーとしての販売戦略に拘ったアップルもまた、一つのスタンダートを作り上げた存在だと言えるでしょう。