UNIQLO

もともと、アパレルのブランドと言えば、ブランド力によって付加価値をつけるために、ファッションショーや有名人を広告塔に起用して高い単価で売ることによって利益を得るというのが、基本的な戦略となっていました。
しかし、その流れに一石を投じたのがユニクロです。
自社の製品でブランド価値を高めながらも単価も控え目に設定することでシェアを拡大して世界的な企業へと成長したこの企業は、アパレル界に新しいビジネスモデルを持ち込んだことでこの成功を作り上げました。
ここでは、ユニクロのビジネスモデルについて紹介します。

アパレル業界の問題点

アパレル産業の生産形態と言えば、何よりも品質とローコスト化が重要となります。
そして、その意味ではいかに素材に関しても安く仕入れて自社で工場を作るかということがポイントとなるのです。
しかし、ブランド力を決定づけるために、素材に関してはより良いもの仕入れようとすることや、ローコスト化のために工場の規模を制限して、市場拡大に耐えうることができない規模になってしまうことが同時に問題ともなっていました。

また、アパレル業者にありがちなのが、ブランド価値を作り、購買欲を高めるような製品を作り上げても、マーケティング戦略が思うようにいかないということです。
これは、デザイン部には優れた人材が配置できていても経営やマーケティングに関してはあまり力を入れなかったために起きてしまうことで、多くは、デパートなどのテナントに出店するのですが、単体でお店まで出すような手法はあまりとられていません。

ユニクロのマーケティング

そもそもユニクロは、衣料品を売る小売業を行っている会社でした。
それが、自社のブランド開発に着手し、現在のような大成功を収めるにいたったのです。
ここで重要だったのが、SPAビジネスの確立です。
SPAとはSpecialty store retailer of Private label Apparelの略で、商品の企画から生産・販売までを一貫して行うことによって、利益を生み出す仕組みを最適化したシステムのことを指します。
これは、ユニクロ誕生以前から、アパレル業界で取り組まれてたビジネスモデルでしたが、ユニクロはこれを世界的な規模で展開する際にも安定して稼働させることができるようなシステム作りに取り組んだことが、功を奏したのです。

具体的には、自社ブランドを展開する際に、いち早く人件費と物価の安い中国に目をつけて工場を作ったことです。
今では、アジアからの莫大な受注に応えるために中国のみならず東南アジアの国々にも生産拠点を構えており、何百万という数の衣料品の生産を可能としています。

また、店舗をロードサイド型の大型商業施設や、路面店、世界都市で看板の役割を果たすグローバル旗艦店など、様々な出店の形態を取ることで、確実にブランドイメージを上げていき、アパレル業界の中でも知らない人はいないほどの企業となりました。

これだけの大量生産を行うとなると、素材会社からもローコストで仕入れることが可能となり、そこでうまれた余剰利益によって、ヒートテックなどの新商品の開発によって次々と、服に「新しい」を持ち込んでいます。