SUNTORY

長く非上場で営業をしてきた同族企業

日本国内の飲料メーカーの動向を語るときに外せないのが、ビール4強です。
ビール4強といえば、アサヒ、キリン、サントリー、サッポロの4社のことであり、国内のビール市場のほとんどを占めています。

このうちサントリーは3番手にあたるのですが、4社の中では唯一非上場として長らく運営をしてきました。
最も海外のメーカーとの提携や国内での上場を検討する動きもあるため、今後どのような動きをしていくかは予測ができない部分もあります。

他のビールメーカーとサントリーが異なるのは、ビール以外のアルコール飲料にも精力的に進出しているという点です。

ヒット商品となった「-196℃」や「ほろよい」、手頃な価格帯で味わいの深いウイスキーの「響」や「山崎」といったものも全てサントリーホールディングスの製品です。

ワインやウイスキーといったお酒は商品化まで長い時間がかかるために参入障壁が高いという特徴があります。
サントリーホールディングスはそうした点を見越して独自の製造形態を確立しており、安価で人気の高いアルコール飲料に強みがあります。

中でも2014年のNHK朝の連続テレビ小説の「マッサン」でウイスキーが題材となったことからいち早く缶ハイボールに参入をしており、ヒット商品を売り出しました。

商品化に時間がかかるウイスキーやワインを売り出すことができたのは、非上場の同族企業により、じっくりと長期的な事業をすることができたからと公表しています。

上場をすると一般投資家から多くの資金を集めることができる反面で、短期的な成果ばかりを注視されることになってしまいます。

長らく自社内のみの資金調達にこだわってきたからこそ、じっくりと独自の企業戦略をとることができてきたのだと分析できます。

アンクルトリスから見るサントリーの歩み

サントリーという企業の歩みを語る上で外せないのが、同社代表商品となっている「トリス」ウイスキーです。

トリスウイスキーのパッケージにあるのは「アンクルトリス」という名前のサントリーのマスコットキャラクターです。

このアンクルトリスは昭和33年(1958年)にデザイナー柳原良平が作った昭和を代表するキャラクターで、かつてはテレビCMのアニメーションに数多く登場していました。

他のアルコールメーカーでこのようなキャラクターを持っている例は少なく、これも長期間にわたる戦略が実行できる非上場経営を貫いてきたことも関係していると言えます。

サントリーの企業理念は「人と自然と響き合う」ということで、「水と生きるSUNTORY」というキャッチフレーズのもと、自然資本による企業運営を自然資源の「水」に例えて表現しています。