ファストファッションというジャンルを確立した人
ドナルド・フィッシャーは、大人気のファッションブランド「GAP」の創業者です。
生まれは1928年9月3日、アメリカ合衆国のカリフォルニア州サンフランシスコでユダヤ系の家庭に生まれました。
中流階級として幼少期を過ごしており、無難に高校から大学に進学し23歳でカリフォルニア州バークレー大学を卒業しています。
大学卒業後は家業として家具販売を継ぐように言われていたのですが、専攻していた不動産ビジネスに興味を感じるようになり、家業以外のビジネスのこともよく考えていたといいます。
結局卒業後は軍で事務仕事をしながら家業の家具販売もするという生活に入るのですが、1960年代に入りやはり自分でも事業を始めてみたいという決意を固めます。
最初の頃はいくつかの事業を初めては成功と失敗を繰り返すことを重ねていましたが、転機となったのはサクラメントのホテルを購入し、その一角をリーバイスの営業マンに貸すようになったことでした。
そこでリーバイスのジーンズをいくつか自分でも購入をしてみて、サイズ展開が少なく交換できる品物が少ないという不自由を実感します。
そのときの経験がドナルド・フィッシャーにファッションブランドを始めさせる原点となり、41歳の1969年にGAPの1号店をオープンします。
オープン当初はリーバイスのジーンズを大量に取り扱う店としていたので、最初の頃はGAPはリーバイスを売るお店というイメージが浸透していました。
しかしもともと素人はだしの感覚で始めたファッション店だったので、自社でよい品物を選んで提案することができず、結局安値を売りにすることでしか売上を上げることができませんでした。
のちに買い付けをするバイヤーを雇うことでデザイン面でも優れた営業をすることができるのですが、この安くよいものを売るという精神は今もファストファッションとして引き継がれています。
信頼できる人を見つけて任せたことが成功の秘訣
ドナルド・フィッシャーは2009年に亡くなっていますが、1995年までは最高経営責任者(CEO)として長く会社の経営に携わってきました。
GAPが当初から経営方針としてきたのは、ヒッピー運動から注目されるようになった子供と大人の中間点にあたるティーンに向けたファッションを提案するということでした。
GAPという名称もそのまま「ジェネレーションギャップ」という言葉から付けられたもので、シンプルで着やすい洋服ということでデザインを選定しています。
ドナルド・フィッシャー退任後に事業を拡大させたのは、信頼できる周囲の人だったとのちに自伝で語っています。
家族や妻、会社のパートナーなどに恵まれたことが成功の要因だったとのことです。